ミソフォニアで病院に行く前に知っておいてほしいこと

病院の廊下を背景に、悩む人物のシルエットと「ミソフォニアで病院 何科?どうする?」というテキストが重なったアイキャッチ画像 ミソフォニアの基礎知識&対処法

「病院に行けば、何かが変わるだろうか」

そう思ったことがある方に向けて、率直に書きます。専門機関に頼ることは意味があります。ただし、知っておかないと後悔するかもしれないことがあります。

受診を決めるまでの、あの葛藤

私が初めて病院を受診したのは、高校生のときです。

きっかけは、自分が出す筆記音への反応を繰り返して、発狂しそうになったことでした。

そのとき、心の中でこんなことが渦巻いていました。

自分がおかしいことは、分かっていました。でも、認めたくなかった。病院に行けば「異常だ」と診断されるかもしれない。そうなったら、今の生活に戻れなくなるかもしれない。

一方で、こんなことも考えていました。いっそのこと、すべてを捨てて精神病院に入院してしまったほうが楽になれるのか、と。

その際どい葛藤の末に、受診に踏み切りました。

程度の差こそあれ、「苦しい、耐えられない、でも普通でありたい、救われたい」という感覚は、多くの当事者に共通するものだと思っています。その葛藤を抱えながらも受診を考えているなら、まず現実を知っておいてください。

ミソフォニアは「病気」として診断されにくい

現時点でミソフォニアは、精神疾患の国際的な診断基準(DSM-5)に正式な病名として掲載されていません。そのため、「ミソフォニアです」と診断してくれる医師は、例外的なケースに近いのが現状です。

相談を受けた中にも「ミソフォニアと診断された」という方はいますが、多くの場合、別の診断名がつくか、「様子を見ましょう」という対応になりやすいです。

私自身は「音恐怖」「強迫性障害」という診断名がつきました。ミソフォニアという概念がまだなかった時代のことでもあります。

それでも、受診することに意味はある

ミソフォニアは病名としては認められにくくても、その反応が引き起こす負荷は本物です。

長期にわたって強い反応と向き合い続けると、うつ状態や不安障害、心身症として現れることがあります。こうした二次的な状態は、医療の対象になります。

「ミソフォニアの診断を受けたい」という目的よりも、「今の自分の状態を把握して、必要であればサポートを受ける」という目的で受診することをおすすめします。

受診する前に、目的を整理しておく

病院に行く前に、一度考えてほしいことがあります。

「診断を受けて、どうしたいのか」という問いです。

職場や学校への配慮を求めたい、休職の手続きに必要、という場合は、ミソフォニアという診断名にこだわる必要はないかもしれません。現在の状態と生活への影響を医師に正直に伝えれば、必要と判断されれば別の診断がつく可能性があります。うつ状態や不安障害として診断が出れば、職場や学校への説明にも使えます。

あらかじめ受診の目的を自分の中で整理しておくと、医師への説明がしやすくなります。

何科を受診すればいいか

心療内科か精神科が現実的な選択肢です。

どちらに行けばいいか迷った場合、心療内科から始めるのが入りやすいと感じる方が多いようです。私も最初は心療内科を受診し、そこから精神科を紹介されました。心療内科でミソフォニアへの対応が難しいと判断された場合、精神科を紹介される可能性もあります。

耳鼻咽喉科や神経内科を検討する方もいますが、ミソフォニアは聴力の問題ではなく反応の問題のため、対応できるケースは限られます。

「薬で治る」という期待は、今のところ持ちにくい

率直に書きます。

現時点でミソフォニアに対して確立された薬物療法はありません。不安を和らげる目的で抗不安薬や抗うつ薬が処方されることはありますが、それはミソフォニアの反応そのものへの治療ではなく、二次的な状態へのアプローチです。

私自身の経験では、処方された薬が合わず、服薬を始めてからむしろ落ち込みが強くなり、うつ状態を発症しました。認知機能にも影響が出て、簡単な計算に時間がかかるようになっていたことを、後から振り返って気づきました。森田療法も受けましたが、ミソフォニアの原因と合っておらず、効果はありませんでした。

その後も数回、薬を試みることがありましたが、いずれも副作用が強く継続できませんでした。現在は服薬なしで、数年間状態が安定しています。

この経験から言えるのは、「受診すること」と「薬を飲むこと」は別の話だということです。受診して状態を把握すること自体は意味がありますが、処方された薬との付き合い方は、慎重に考えてください。

自己理解と自己対処を、並行して深めていく

医療機関はサポートの一つですが、ミソフォニアの反応そのものへの対処は、今のところ自分で仕組みを理解して関わり方を変えていくことが中心になります。

「病院に行けば解決する」という期待は、現状では持ちにくいです。ただし「今の自分の状態を把握する」「二次的な問題(うつ・不安)があれば対処する」「必要な場面での診断書を得る」という目的においては、受診することに意味があります。

無理のない範囲で、専門機関との関わりと、自己理解の両方を進めていくことをおすすめします。

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