ミソフォニアがある人と付き合うとはどういうことか。そして、音への反応がある側にとって、パートナーとの関係はどう変わっていくのか。
この記事は、当事者である私(Hazime)と、私のパートナーの両方の視点から書いています。どちらか一方の立場だけでは見えない部分を、できるだけ正直にお伝えします。
付き合い始めて2ヶ月、パートナーが気づいたこと
私のパートナーが、私のミソフォニアに気づいたのは付き合い始めて2ヶ月ほどのことでした。
最初、パートナーはこう感じたと言っています。
「はじめは、何を言われているのかよくわからなかった。でも、嫌な音があるんだな、ということだけはわかった。黒板を引っ掻く音がみんな嫌いなのと同じように思っていた。」
この感覚は、多くの非当事者に共通するものだと思います。「程度の差はあっても、誰でも嫌な音はある」という理解から始まるのは自然なことです。ただ、ミソフォニアの反応は、その感覚とは仕組みが根本的に違います。
一番しんどかった場面
関係の中で、パートナーが一番しんどかったのはこんな場面だったと言っています。
旅行先で、錠剤を飲もうとしてむせこんでしまいました。その音に私が反応して、様子がおかしくなった。お互いに何も言えなくなった状態が続き、その場が落ち着くまでの張り詰めた時間が、一番しんどかったと。
他にも、きつい場面は数え切れないほどあったのですが、すぐ思い出せるのはこのエピソードとのことでした。
この場面を振り返って、私が思うのは、「反応した私」も「それを見ていたパートナー」も、どちらもその場で途方に暮れていたということです。どちらが悪いのでもなく、どちらも消耗していました。
パートナーが感じていたこと——正直な言葉で
パートナーから、同じ立場の人に伝えたいことを聞きました。以下は、パートナーが当時の心境を振り返って語ってくれた言葉です。今は状況が変わっていますが、当時の正直な気持ちとしてそのまま掲載しています。
「相手のつらさと同じくらいのものを抱え込んで、心中しようかなって思うのが、自分のHazimeに対する接し方だった。相手のことが好きだからこそ、死ぬかも、死んじゃうのかな、もしくは自分が自殺を考えてしまうのかな、と考えた。」
「ミソフォニアだから別れたい、はゼロではなかった。でも今は、心身ともにむしろ自分の方が不調を抱えていて、支えてくれる存在の大きさを感じています。相手のことが好きであれば、どこかでそれを実感すると思う、と伝えたい。」
この言葉を読んで、軽い気持ちで受け取れるものではないと感じた方もいると思います。それが現実です。ミソフォニアのある人と共に生きることは、相手にとって決して小さな負荷ではありません。
それでも、関係は変わっていく
パートナーに「今と昔を比べて、何が一番変わったか」を聞くと、こう答えました。
「怖がる頻度が減った。」
シンプルな言葉ですが、これが全てだと思います。私の反応に対してパートナーが感じていた「怖さ」が減った。それは、私の反応との距離感が変わったことと、パートナーが反応の仕組みを少しずつ理解していったことの、両方が重なった結果です。
当事者側が知っておいてほしいこと
パートナーの言葉を借りると、「相手のつらさと同じくらいのものを抱え込む」人がいます。
当事者は自分の反応で手一杯になりがちですが、隣にいる人も消耗しています。「分かってほしい」という気持ちは自然ですが、分かろうとしてくれている相手が、どれだけのものを抱えているかも、同時に想像できるようになると、関係の見え方が変わります。
パートナー側が知っておいてほしいこと
ミソフォニアの反応は、意志で抑えられるものではありません。「気にしないようにしてほしい」「もう少し我慢してほしい」という言葉が通じにくい理由は、性格や努力の問題ではなく、条件反射の仕組みによるものです。
一方で、反応との距離感は変わっていきます。変わらないまま終わるものではありません。ただし、それには仕組みの理解と、具体的な関わり方の変化が必要です。「愛情があれば乗り越えられる」という話ではなく、仕組みを知ることが出発点になります。
ミソフォニア問題の途中過程において、安心できる答えはなかなか見つかりません。ただ、一つだけ言えることがあります。ミソフォニアのことと向き合っていること、それだけでも認めてもらえると、非当事者の立場にいるパートナーの気持ちはだいぶ違います。
解決しなくていい。答えを出さなくていい。向き合っていることを、見ていてくれる人がいる。それが、消耗し続けているパートナーにとっての支えになります。
カミングアウトのタイミングについて
「いつ伝えるべきか」という問いを持つ当事者は多いです。
正直に言うと、いつ・どのように伝えても、それで相手が「助かる」ということはない、というのが私とパートナーの共通認識です。
私は以前、付き合った相手に自分の状態が伝わってしまったとき、「そういうのがあるなら先に教えてほしかった。知っていれば付き合わなかった」と言われたことがあります。当時はまだミソフォニアという言葉もなく、自分の中で最もやましい部分を隠している自覚はありました。だから、「それもそうだろうな」と思いました。
私の場合は打ち明けるつもりがなかったので、アウティングという形で伝わってしまいました。ただ、何も伝えないよりは、伝えた方がいいと今は思っています。
理由は、伝えることで相手が「助かる」からではなく、意図せず出た音による衝突と向き合う姿勢を、お互いがとりやすくなるからです。意識の共有が、わずかでもできる。それだけでも、意味はあります。
あなたがミソフォニアだということを知って、突き放す人がいても、それはその人の考え方であって、非難することはできません。ミソフォニアのある人と向き合い続けてくれる人がいるだけで、それは大きな救いです。その事実は、忘れないでいてほしいと思っています。
すでに結婚・同居している段階での具体的な関わり方については、こちらの記事も参考にしてください。 → ミソフォニアを発症した妻・夫との接し方
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