ミソフォニアの原因——なぜ特定の音にあれほど激しく反応するのか

`割れたグラスの破片と「ミソフォニアという異質さが示すもの」というテキスト` ミソフォニアの家族・パートナー向け

「わがままなのか、それとも何か別のものなのか」

——その疑問を持ってここにたどり着いた方へ。

原因を知ることは、安心を得ることではありません。正体を知れば知るほど、その深刻さの輪郭がはっきりしてきます。それでも、知る価値はあります。

ミソフォニア専門書籍の著者・Hazime(角谷滉一)が解説します。

ミソフォニアの原因は、まだ完全には解明されていない

結論から言います。

ミソフォニアの原因は、医学的・神経学的にまだ完全には解明されていません。研究は進んでいますが、「これが原因だ」と断言できる段階にはありません。

ただし「原因不明」という言葉で片付けられる状態でもありません。現時点で最も合理性の高い説明があります。

最も合理性の高い説明——脳に刻まれた条件反射の回路

現時点で最も説得力のある仮説は、脳内に形成された条件反射の回路です。

「特定の音→強烈な不快感」という回路が、繰り返しの体験によって脳に刻まれた状態。これがミソフォニアの正体として、私自身も採用している説明です。

条件反射は意志で止められません。熱いものに触れた瞬間に手を引っ込めるのと同じように、音が入った瞬間に反応が起動します。「頭では分かっているのに感情が動く」のは、意志より先に回路が作動するからです。

詳しい仕組みについては、ミソフォニアはなぜ発症する?条件反射の仕組みを解説で説明しています。

ただし、それだけでは終わらない

「条件反射だから、あなたへの感情ではない」——そう言えれば話は簡単ですが、現実はそう単純ではありません。

条件反射は最初のきっかけにすぎません。

同じ状況が繰り返されるうちに、当事者の中に「また嫌がる音を出された」という認識が積み重なっていきます。繰り返しの打撃は、当事者の認知そのものを変えていく。気づけば条件反射の上に、本物の感情が乗っている。

当事者が本物の嫌悪をあなたに向けていたとしても、不思議ではありません。

ここで「感情ではなく回路の問題だから大丈夫」と受け取ると、理解はそこで止まります。

なぜあんなにも激しく反応するのか

「ちょっと嫌いな音がある」という話ではありません。

持って生まれた性格や感情の傾向が、完全に霞んでしまうほどの熾烈な反応が起きます。それがミソフォニアです。

しかも、和やかな状態からでも容易に限界を超えます。当事者が穏やかに過ごしていても、特定の音が繰り返し入ってくるだけで、蓄積された打撃はキャパシティを破ります。「さっきまで普通だったのに」という急変は、意志や気分の問題ではなく、回路が限界を超えた結果です。

これは「わがまま」でも「性格の問題」でもありません。ただし「感情が乗っていない純粋な反射だ」とも言い切れない。その複雑さが、ミソフォニアをただの「音の好み」と区別するものです。

当事者は「努力していない」のではない

傍から見ると、当事者は努力しているように見えないかもしれません。反応し、感情的になり、その場を離れる。その繰り返し。

しかし当事者の内側では、まったく別のことが起きています。

当事者にとって、我慢することが努力です。音が発生するたびに、理性で耐えることそのものが「努力している」という感覚です。しかし実態は、「音の不快感に対して何も抗えない」という絶望と、容赦なくまたやってくる不快感を耐えるか逃げるかの選択を、日常的に繰り返している状態です。

努力の仕方が、そもそもわからない。抗う手段がない中で、ただ耐えるか離れるかしかない。

「努力が足りない」「気合いで何とかなる」という言葉が、当事者にとって的外れである理由はここにあります。

原因を知った先にあること

原因を知っても、反応は止まりません。

それでも、正体を知ることには意味があります。「わがままだから」「こちらへの悪意があるから」という解釈で関わり続けると、関係は確実に消耗していきます。正しく深刻に受け取ることが、関わり方を変える最初の一歩になります。

漠然とした不安を感じているなら、それは正しい感覚です。その不安を、具体的な理解に変えていくことができます。

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