ミソフォニアには、音楽家になれる才能があるのか?

ミソフォニアの基礎知識&対処法

ミソフォニアといえば「音の問題」というイメージが強いですが、海外のコミュニティを見ていると、プロの音楽家として活動しているミソフォニア当事者が少なくありません。なぜ音に苦しむ人が、音楽を職業にするのでしょうか。

海外のミソフォニアコミュニティで見かけた、プロの音楽家たち

海外のミソフォニアコミュニティに参加していたとき、プロの音楽家が多くいることに驚いた記憶があります。確認できた専門家を挙げると、歌手(ソロアーティスト)、声楽家、コーラス(合唱団)、ピアニスト、弦楽器の専門家、バンドのドラマー、作曲家などです。

これは偶然ではないかもしれません。

ミソフォニアと音楽的才能の関係——研究が示すこと

2022年に発表された研究「ミソフォニアの感受性と音楽性の関係」では、多くの現役音楽家がミソフォニアを自己申告しており、音楽がミソフォニアの症状を和らげる可能性も示唆されています。

出典:Ferret-one

また、音に対して強いネガティブな感情反応を持つ人は、音楽に対しても強いポジティブな感情反応を持つ可能性があるという視点も提示されています。音への感受性の高さが、ミソフォニアと音楽的な感性の両方を生み出しているのかもしれません。

出典: GIGAZINE

さらに、ミソフォニアの症状が重い人ほど、音楽を聴いたときの感情的な反応が強く、音楽から受ける影響が大きい傾向があることも示されています。

出典: wowKorea

つまり「音への感受性が高い」という特性が、不快な音への強い反応(ミソフォニア)と、音楽への深い感情的な反応の、両方を生み出している可能性があります。

音楽的才能とミソフォニアは、必ずしも結びつかない

ただし、「ミソフォニアがある=音楽的才能がある」というわけではありません。

私自身はまともに楽器を弾けないので、特別な音楽家の才能はないと思っています。耳で聞いた音を鍵盤で当てることはできますが、自分が歌い出すときの音はだいたい外します。カラオケ採点では「音程はまあまあ正確、リズムが少し遅れ気味」と判定される程度です。

音痴でも、特定の声質に強く惹かれる——父の場合

私の父もミソフォニアですが、本人も周囲も認める音痴です。歌が上手ければ惹かれるかというと、そういうわけでもなく、特定の声質を持つ女性歌手にしか強く反応しないという独特の傾向があります。

父が惹かれる歌手のリストを思い出せる範囲で挙げると、こうなります。

  • ヘイリー
  • サラ・ブライトマン
  • ちあきなおみ(「喝采」)
  • 久保田早紀(「異邦人」)
  • ル・クプル
  • 鬼束ちひろ
  • 木村弓
  • 藤圭子(宇多田ヒカルには無反応だった)
  • 綾香

改めて並べてみると、共通点が見えてきます。透明感のある高音域、あるいは独特のハスキーさや陰影のある声質——いわゆる「きれいな歌声」とは少し異なる、何か特別な響きを持つ声ばかりです。

歌の上手さよりも、声そのものの「質」に反応している。これは音楽的才能とは別の次元の話ですが、音への感受性が特定の方向に鋭く働いている例として、非常に興味深いと思っています。

ミソフォニアの人が音楽を使うときの注意点

音楽はミソフォニアの対処法として有効なことがありますが、一点注意があります。

人の歌声が入ったBGMを長時間聴いていると、耳が無意識に歌声を拾い続けてしまう傾向があります。長く聴いているとなんとなく疲れてしまうので、BGMの使い分けをするのがおすすめです。歌詞のないインストゥルメンタルや、自然音・ホワイトノイズなどは疲れにくい傾向があります(個人差あり)。

まとめ

音楽的才能とミソフォニアの関係については、まだ研究途上です。ただ「音への感受性が高い」という特性が、音楽家としての感性とミソフォニアの両方を生み出している可能性は、研究によっても示唆されています。

ミソフォニアがあることは、音に対して並外れた感受性を持っているという側面でもあります。その感受性がどの方向に働くかは、経験や環境によって変わっていくものかもしれません。


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