- Q私はミソフォニア当事者の家族、夫です。今年で結婚して5年になる妻が、2年ぐらい前から、私の出す音に対して、毎回注意をしてくるようになりました。
きっかけは、あったのかなかったのか、お互いによく覚えていません。
特に妻は、食事中の漬け物を食べる時に出るボリボリと噛む音や、麺をすする音を出すと、「もう、いい加減にして!やめてって言ってるでしょ!」と、人が変わったようにヒステリックを起こし、激しく責められます。
私は妻への愛情があるので、自分としては極力、妻の嫌がる音を出さないように気をつけているつもりですが、本人にとってはまだ不満のようです。
妻が音のことを気にする前は、優しくて穏やかな人だったと思うので、ここまで感情むき出しで怒るのはなぜなんだろうという疑問も消えません。
妻は、音のことで揉めてしまった後、「ごめん、自分が悪いだけなのは分かってる」「ちょっと一人にさせて。落ち着かせるから」と苦しそうな様子で話すので、自分でなんとか気分を持ち直す努力もしているようです。
でも、繊維質のものを食べて、噛む音をまったく出さずに食べるのは無理だと感じますし、麺を食べる時も、無意識だと普通にすすってしまいます。わざとやっているわけではありませんし、苦しんでいる妻の様子を見ると、ときおり無力感を感じて、私も辛いです。
妻からの愛情はなくなっていないと信じていますし、私も妻のことが大事ですが、自分がいったいどうしたらいいのか、わからなくなる瞬間があります。もう離婚するしかないのか…という考えが頭をよぎる時もありますが、まだ諦めきれません。
ミソフォニア症状の妻とは、この先どう接していけばいいんでしょうか? - A
まず、ここまで読んでいただいて伝えたいことがあります。
あなたが感じている無力感は、当然のものです。音を出さないように努力している。それでも反応が起きる。妻は苦しんでいる。自分にはどうしようもない——この状況で消耗しない人はいません。
ミソフォニアは、当事者だけでなく、その周囲にいる人間にとっても、じわじわと疲弊させる問題です。あなたが限界を感じていることは、弱さでも失敗でもありません。
その上で、現時点で思い浮かぶアドバイスを6つお伝えします。
1. 気になる音が出にくい食事にする
食事のメニューは、奥様が料理をされているなら、自分が反応しやすい音が出にくいメニューを選ぶよう工夫してもらいましょう。
たとえば、歯ごたえのある野菜はクタクタになるまで火を通す、麺類はメニューから外す、といった調整です。これは奥様自身が対処できる部分であり、自分の反応をコントロールするための一歩になります。
「音を出さないで」と求め続けるより、「音が出にくい状況を一緒に作る」という方向に切り替えると、お互いの消耗が減ります。
2. 食事のルールを柔軟にする
「夫婦であれば一緒に食事をしなければならない」という決まりはありません。
別々に食べて「美味しかったよ」と伝え合うだけで、十分な夫婦の時間になることもあります。一緒に食べることへのこだわりを手放すことは、関係を諦めることではなく、お互いを守るための現実的な選択です。
食事に限らず、「一緒にやること」と「別々にやること」を柔軟に分けていくことで、衝突の頻度を下げることができます。
3. 今改善できるところを、お互いに探す
同じ状況の繰り返しから抜け出したいなら、現状の改善点を少しずつ見つけて、試してみるしかありません。
奥様も、揉めた後に自分で立ち直る努力をされています。あなたが今以上の重荷を一人で背負う必要はありません。「二人でトライアンドエラーを繰り返す」という姿勢が、長期的には関係を支えます。
どちらかが正解を持っているわけではなく、一緒に手探りしていくというスタンスが、この問題には合っています。
4. 疑問は直接聞く
「なぜこうなるんだろう」と頭の中だけで考え続けていると、答えが出ないまま消耗します。
聞けば済む疑問は、直接本人に聞きましょう。パートナー関係でのすれ違いの多くは、「言わなくても分かるはず」という思い込みから生まれます。
ただし、反応が出ている最中や、揉めた直後は避けてください。落ち着いたタイミングで、感情的な圧をかけずにフラットに聞くことが大切です。奥様の反応が落ち着いた後の、穏やかな時間を選んでください。
5. 「反応が出ていないときの奥様」を基準にする
ミソフォニアの反応が起きているとき、奥様は普段の状態ではありません。条件反射が感情を乗っ取っている状態で、本人の意志でコントロールできていないのです。
厳密には「別人格」という表現は正確ではありませんが、「今は反応が出ている状態だ」と理解することで、あなた自身の受け取り方が変わります。
指摘に耐えるのではなく、反応が落ち着くまで待つというスタンスの方が、あなたの気持ちも楽になり、奥様にとっても助けになります。
6. 奥様がミソフォニアの仕組みを理解しているかを確認する
もし奥様がまだ「自分の性格のせい」「意志が弱いから止められない」と思っているなら、それが状況をより苦しくしている可能性があります。
ミソフォニアは条件反射の仕組みで起きており、意志の弱さや性格の問題ではありません。この理解があるかないかで、奥様の自己否定の深さが変わり、あなたとの関わり方も変わってきます。
もし奥様がまだ正確な仕組みを知らないようであれば、一緒に理解を深めることが、今できる最も有効なアプローチかもしれません。
まとめ
今の奥様は、反応を自分でコントロールできていない状態にあります。そしてあなたは、どうすることもできない無力感の中にいます。どちらも、本人が望んでそうなっているわけではありません。
ミソフォニアの反応は、仕組みを理解することで少しずつ扱いやすくなります。奥様が「これは条件反射だ」と理解できるようになると、反応との距離感が変わり始めます。
パートナーとして今できることは、「圧をかけずに対話する」と「反応が落ち着くまで待つ」この2つを続けることです。そして、あなた自身のメンタルも大切にしてください。消耗し切ってしまっては、支え続けることができません。
付き合い始めの段階や、カミングアウトのタイミングについて知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。 → ミソフォニアのパートナーとの付き合い方——当事者と非当事者、両方の視点から
奥様と一緒に、仕組みを理解するために
最後に2つご紹介させてください。奥様本人が仕組みを理解する助けになるものです。パートナーとして、一緒に読んでいただくこともできる内容になっています。
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