「音が嫌いだと感じる理由」4つの間違った解釈。実際の理由から激しくズレる訳は?

ミソフォニアの相談者へ、イライラする音に対して「嫌だと思う理由」を聞くと、こんな答えがよく返ってきます。
- 余計な音は、必要以上に出さないのが人として品位の高いことだ
- ガサツな人が大嫌い。だからガサツな人の出す粗雑な音に、イライラする
- 行儀悪すぎ!マナーがなってないし、非常識で迷惑な音の出し方だ
- 生理的に受け付けない音だから、嫌だ
これら4つの理由は、本当に「正しい理由」なのでしょうか?
実際のところはどうなのか、一つひとつ冷静な観点で見ていきます。
「余計な音」「迷惑な音」だと決めたのは、誰?
たしかに、どでかい咳の音や、容赦なくぶっ放されるくしゃみの音を聞いたりするのは、普通の人にとっても気分の良いことではありません。
- 風邪をうつされそう
- 単純に音のボリュームがうるさい
といった理由から、多くの人が不快に感じるからです。
そこへミソフォニアの人は、条件反射で湧く不快な感情を、無意識のうちに紐づけて考えています。
つまり
- 一般的に感じる「迷惑」
- 自分の特殊な感覚による「不快感」
この2つの要素を勝手に掛け算してしまっていますが、本来は別々に切り離して考えるべきことです。
「誰が迷惑するでもなし」の状況だったとして、その音が本当に「余計」や「迷惑」なのか、改めて振り返ってみましょう。
「ガサツ」の比較基準は、どこにありますか?
ドアを乱暴に閉めるクセがある人など、あなたから見て「必要以上に大きな音」だと思う音を出す人が「ガサツな人」だとします。
そして、ガサツか、ガサツでないかを決める基準になっているのは、いつでも自分自身ですよね。
だとすると、もしもあなたよりももっと細やかな神経の人から見た場合、あなたのほうが「ガサツな人」だと判断されます。
つまり、「ガサツ」とはどこまでも主観で語られる評価で、「ガサツだから不愉快」の理論は、筋が通りません。
なぜなら、あなたよりも繊細な人が「ガサツなあなた」を見てさらに苛立っているのか?と言ったら、決してそうではないからです。
まぜるな危険!「行儀」「常識」「マナー」「迷惑」
常識とは、見る世界が変わればいくらでも変わるものなので、一律に語れません。
例えば、学生には学生の中だけで通用する「常識」があり、お金持ちにはお金持ちにとっての「常識」があるからです。
また、「行儀」「マナー」に関しても、誰かが設定したルールやたしなみに過ぎないので、無視する自由は誰しも持っています。
日本蕎麦は「大きな音を出してすする」のが正しいマナー
ミソフォニアの人の中には「麺類をすする音」がダメだという人も、かなりの割合でいます。(僕もダメでした)
ここで「行儀やマナー」を引き合いに出すと、おかしくなってしまうことがあるんです。
日本蕎麦の食べ方においては、「音を立ててすすること」が料理人への賛辞と見なされます。
これが日本蕎麦の食べ方における「行儀の良さ」なので、悪いことや迷惑なことだと、一概に決めつけられなくなりますよね。
「生理的に」は枠が大きすぎる
「生理的に無理」は、女性によく使われる言葉ですが、具体性ゼロの乱暴な説明だと思います。
自分の知っている言葉で表現しづらいことを、ひっくるめて拒絶しているだけです。
これは「私には語彙力がありません、磨く気もありません」と言っているようなもの。
つまりのところ、理由として使うには自己中心的でズルすぎる言葉なので、もっと具体的な理由にしない限り、人は納得できません。
まとめ
品性・粗雑な様子・行儀・マナー・生理的といった理由は、条件反射で湧く不快な感情と、直接的な関係がありません。
あなたの頭の中で、「特定の音でイラつく理由」を探して、適当に繋げられそうなことを紐づけてしまった結果なんです。
解説したとおり、いろいろな矛盾があるので、「こじつけ」と言った方がより的確かもしれません。
とはいえ、音でイライラする原因がよく分からないうちに、自分の感覚を正当化しようとするのは、ある程度仕方のないことです。
知識不足・情報不足がもたらした考え方ですからね。
まじめに考えすぎてしまうタイプの人は、もっといい加減な考え方もできるように「思考の枠外し」をしてみるのがおすすめです。
「枠外し」の具体的なやり方が知りたい方には、ミソフォニアの本で詳しく教えます。
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