ソフォニアと混同されやすい状態のひとつに、SPD(感覚処理障害)があります。
SPDは別名「感覚過敏」と呼ばれることもあるため、ミソフォニアの音に対する反応と間違われやすいのも無理はありません。しかし実際には、音に対する感じ方も行動の傾向も全く異なります。最も大きな違いは発症年齢です。ミソフォニアは何歳でも発症する可能性がありますが、SPDは幼少期の発現に限定されています。
この記事では、ミソフォニアとSPDの違いをできるだけわかりやすく解説します。
そもそも、SPD(感覚処理障害)とは?
SPDは「Sensory Processing Disorder」の略で、日本語では感覚処理障害または感覚過敏症を意味します。
自閉症スペクトラムとSPDを同一視する意見もありますが、SPDの症状がありながら自閉症ではない人もいるため、自閉症=SPDとは一概に言えません。
ミソフォニアもSPDも、精神疾患の最新分類「DSM-5」へカテゴライズすべきという専門家の声がありますが、現状では疾患として分類されていない状態です。
ミソフォニアとSPDの具体的な3つの違い
ミソフォニアとは別の状態である聴覚過敏も、一般的にSPDの症状の一部として扱われています。SPDは聴覚だけでなく視覚的な情報や触覚にも過敏な反応が多く見られる点で、ミソフォニアとは大きく異なります。
①感覚過敏反応の性質が全く違う
SPDの感覚過敏は、刺激の強さや持続時間と深く関わっています。たとえばSPDの人は、音が大きければ大きいほど、それが長く続けば続くほど耐えがたくなります。
ミソフォニアはトリガー音が大きくても小さくても反応が起き、持続時間との相関性も認められません。
②SPDには刺激を欲する気持ちがある
ミソフォニアが不快なトリガー音をなるべく避けようとするのに対して、SPDには刺激を積極的に欲する感情があると言われます。
たとえばSPDの子どもは水洗トイレの音を聞いた瞬間に恐怖心を感じていても、繰り返し水を流す音を聞いていると感情が落ち着いてくることがあります。一方でメルトダウン(突然の動悸・吐き気・めまい・震え)を起こすこともあり、この点ではミソフォニアと似通った反応も見られます。
③発症年齢が異なる
ミソフォニアとSPDの最も明確な違いは発症年齢です。
ミソフォニアの約半数は10代までに発症しますが、米ミソフォニア研究所所長Thomas H. Dozier氏の研究では約5%の人は大人になってからも発症し、50代での発症者も存在しました。発症時期が幼少期に限定されているSPDとは、この点が最も際立った違いです。
トリガーとなる刺激の違い
SPDのトリガーとなる要素は主に3つで、聴覚刺激・視覚刺激・触覚刺激です。
聴覚的刺激への反応
SPDの不快感は音量に基づいています。聴覚性SPDのトリガー音は、掃除機・水洗トイレ・大きな音のおもちゃ・花火など、大きな音が中心です。
ミソフォニアのトリガー音は音量との関連性が薄く、むしろ柔らかい音が多いです。誰かが息をする音・家族が食事をする音・タイピングの音・鼻をすする音などが代表的です。
SPDのトリガーは「大きな音」で音の内容や出所は関係なく、ミソフォニアのトリガーは「特定の意味や文脈を持つ音」という違いがあります。
視覚的刺激への反応
SPDの視覚的トリガーも聴覚と同様に刺激の強さに基づいており、「まぶしい光」などが含まれます。
ミソフォニアで紐づけられている視覚的トリガーは特定のイメージです。ガムを噛んでいる口元の動作や、足をブラブラさせている動きを見ることなどが含まれます。
つまり、ミソフォニアの視覚的トリガーは「特定の意味・文脈を持つ何気ない動作」で、SPDの視覚的トリガーは「強い視覚的刺激」という違いです。
触覚的刺激への反応
SPDの人はきつい靴や服の締めつけ感・他人に触られること・特定のテクスチャーへの接触に対して非常に敏感になることがあります。
ミソフォニアでは触覚刺激への反応はほぼ見受けられません。
まとめ
ミソフォニアのトリガーは大部分が特定の「音」であるのに対して、SPDのトリガーとなる刺激は多岐にわたります。
具体的な違いは音量・音の種類・刺激のバリエーションに分けられ、SPDは本来負担になるはずの刺激を「欲することがある」という点も特徴的です。これはミソフォニアにはほぼない感覚で、ミソフォニアはトリガー音のある環境から積極的に逃げようとします。
自分がミソフォニアかSPDか分からない場合は、音以外の刺激に対してどう感じるかを確認してみてください。SPDは触覚を除いて「強い刺激」に反応しやすく、ミソフォニアは一般的に「許容が容易なボリュームの生活音」に反応します。
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